作成日:2023/08/30
中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)について
ハイ、皆さん、こんばんは。社労士事務所ネクストシーズン松本です。痩せると渡辺謙さんに似てると言われる、、。 今回は業務改善助成金について書いていきたいと思います。 正式名称は中小企業(大企業は対象外です)最低賃金引上げ支援対策費補助金というみたいです。通り名は業務改善助成金です。 今年度の業務改善助成金の交付申請をさせてもらった感想、、、これはややこしいです。 業務改善助成金の支給要件は、先ずは労働者の賃上げ、それから生産性向上のための設備投資(設備投資額の75%〜90%(㊟上限有り)が助成金で支給される)です。 助成金の上限額は@賃金を上げる額とA人数、それからB事業場の従業員数が30人以上か29人以下かにより変わります。 上げる賃金額は4コースにわかれていて、@30円コースA45円コースB60円コースC90円コースになります。 上げる人数については5コースにわかれていて、@1人A2〜3人B4〜6人C7人以上D10人以上になっています。 Dの10人以上のコースは、・事業場内最低賃金(わかりやすくいうと会社内で一番低い時給者の時給額※)が920円未満か、・コロナの影響で15%以上売り上げが下がっているか、・原材料費の高騰などで利益率が3%ポイント以上下がっているなどの条件を満たす中小企業のみが対象です。※月給者しかいない場合は月給者の時給換算額で一番低い額を事業場内最低賃金とします。 最も低い助成金の上限額は30万円(30円コース、賃上げ者数1人、事業場従業員数30人以上の場合)で最も高い上限額は600万円(90円コース、賃上げ者数10人以上、事業場従業員数は不問)です。 一例をあげますと、30円コースで、賃上げ者数が2人〜3人、事業場従業員数が29人以下の場合で上限が90万円です。 助成率は、事業場内最低賃金(会社内で一番低い時給者の時給額)がいくらなのかによって変わります。 事業場内最低賃金が870円未満は90%、870円以上920円未満は原則80%(生産性要件を満たすと90%)、920円以上は原則75%(生産性要件を満たすと80%)になります。 生産性要件は直近年度(昨年度)の決算と4年度前決算の比較をして、労働生産性が一定以上上がっていると満たします。簡単に肌感覚でいいますと、業績が良く従業員が増えている会社は満たしていることが多いです。 注意点は、事業場内最低賃金(会社内で一番低い時給者の時給額、月給者のみの場合は時給換算額)が地域別最低賃金と比べて31円以上高い事業所は業務改善助成金の対象になりません。 地域別最低賃金から31円以上高い金額は、大阪ですと1054円、兵庫991円、奈良927円、京都999円になります。 ただし、今年の10月に、大阪は41円、兵庫・京都・奈良は40円の地域別最低賃金の引上げが予測されておりますので、現時点の地域別最低賃金と比べて事業場内最低賃金が31円以上高くても、10月(予測です)の地域別最低賃金の引上げを待ってから業務改善助成金の交付申請(事業計画などの届出のこと)を行うことはあり得るかもしれません。予算がそれまでになくなって業務改善助成金の受付終了の可能性はありますが。 それと、入社して3ヶ月を経っていない従業員は賃上げ者の対象になりませんので、今から人を雇う場合は12月以降に交付申請が可能になります。今年度の受付が終わっている可能性がありますのでご注意ください。 また、業務改善助成金は労働・雇用に関する国の助成事業ですので、一定期間内に会社全体で解雇者や退職勧奨者を出したり、賃下げ、それからパートさんや従業員さんの勤務時間を短縮したりなどをすると、支給されない又は返還になります。 解雇や退職勧奨、シフトを減らすなどのリストラクチャリングを行う企業さんは業務改善助成金は取り組みにくいかもしれませんね。 ご覧いただいてありがとうございました。次回は、引き続き業務改善助成金の対象となる設備投資について書いてみたいと思います。 それでは次回をご期待ください。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ...