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作成日:2022/09/24
中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金特例コース)について No.2



 業務改善助成金の特例コースについて説明します。大阪は谷町四丁目、社労士事務所ネクストシーズンの松本です。どうぞ宜しくお願い申し上げます。※本文中の事業場とは店舗や工場、会社の事務所の事を指します
 

 新型コロナウイルス、物価・燃料・原材料・光熱費などの高騰、円安(事業によりますね)、日本人の所得低下、少子化、精神疾患労働者の増加、日本は今や問題だらけですね。改善する可能性さえ見いだせない。と思いませんか?思いますよね。本音ベースだとそうだと仰る方は多いです。

 そんな中、政府は数年前の宣言通り、全国の最低賃金をしっかり毎年あげてくれています。来月10月からここ大阪は地域別最低賃金が時給1000円を超え1023円になります。

 しかし、さすがに国も中小企業経営に与える影響を考えないわけにはいかない。

 という事で、急遽最低賃金が上がる10月を前にしたこの9月に、従業員を雇用する中小企業支援策として業務改善助成金の特例コースが再開しました。

 業務改善助成金は昔から有りますが今回の特例コースを一言で言うと、パソコンやスマホ、タブレット類、汎用事務機器、それから自動車!これらが対象になっているのが最大の特徴。
※大昔は通常の業務改善助成金で自動車買えました。

 あと、対象経費として宣伝広告費が対象になるのもインパクトが大きい。


 それでは、業務改善助成金の特例コースの対象になる会社・事業場を確認しましょう。こちらの表をご覧ください。

(表1)


業種 @資本金の額又は出資の総額 A常時使用する企業全体の労働者数
一般産業(下記以外) 3億円以下の法人 300人以下
卸売業 1億円以下の法人 100人以下
サービス業 5000万円以下の法人 100人以下
小売業 5000万円以下の法人 50人以下


 この(表1)で先ず貴社の業種を見ていただいて、それから@の資本金等の額かAの労働者数のどちらかを満たしていれば対象になります。

 コンビニなど小売業はAの労働者数が超えてしまう事もあるでしょう。しかし、@の資本金額が5000万円以下なら対象になります。

 例えば、労働者数100人、資本金1000万円で小売業でしたら対象になります。又、飲食店はこの(表1)では小売業になります。

 業務改善助成金の特例コースの対象になる会社・事業場の要件は3つあります。3つ満たすと対象事業者です。上記の(表1)は先ず1つ目の要件になります。


 それでは2つ目の要件

 令和3年7月16日から令和4年12月末までの間に、事業場内最低賃金を30円以上引き上げている


 事業場内最低賃金とはその店舗・会社で一番低い時給の事です。月給や日給の従業員しかいない場合は時給に換算した額を指します。

 事業場内最低賃金の理解促進のポイントは下記3つ。

 事業場内最低賃金は、、

 @たまたま今いる従業員の中で一番低い時給を指すわけではない
 A会社や店舗の全員に関わってくる
 B事業場内最低賃金を上げるという事は従業員全体の給料時給の底上げになる


 それでは上記の@について説明します。
  

 例えば、事業場内最低賃金(一番低い時給)を今月9月1日に1000円から1030円にしたとしましょう。

 そうすると、事業場内で一番低い時給だった従業員の時給を1000円から30円上げて1030円にすることになるでしょう。

 事業場内最低賃金を30円以上引き上げたとして助成金も申請できます。

 ではこの場合に、9月2日に新人の学生アルバイトが入社したとしましょう。これまでアルバイトの経験は全くないそうです。

 さあ、この時にこの学生アルバイトの時給を1030円未満からのスタートにできるでしょうか?

 答え⇒出来ません。

 理由は、助成金の要件として事業場内最低賃金を30円以上引き上げているからです。


 今いる従業員の中の一番低い時給を30円以上引き上げたら良いんでしょう?という理解は誤りです。

 ちなみにこの例ですと、助成金申請の際に、事業場内最低賃金が1030円と書いた書面を労働局に提出します。それから数年後に労働局調査が入る事があります。その際に1030円未満の時給者がいれば助成金の返還を求められる事になります。


 それでは続いてこちらの下記AとBについて説明します。

事業場内最低賃金は、、

 @たまたま今いる従業員の中で一番低い時給を指すわけではない
 A会社や店舗の全員に関わってくる
 B事業場内最低賃金を上げるという事は従業員全体の給料時給の底上げになる
 
  このAとBについては前回のブログで詳しく書きましたので、下記のリンクから前回のブログをお読みください

前回のブログ⤵
https://www.n-season.jp/announce_61192.html


 という事で、助成金の対象になる会社・事業場の3つの要件に戻りましょう。


 3つ目の要件
 

 @新型コロナウイルスの影響で売上(生産量指標)が30%以上減少している

 又は

 A原材料費等高騰など経済環境変化により利益率が5%ポイント低下している

 上記の@かAのどちらかを満たす必要が有ります。コロナが原因なら売上30%減、昨今の物価高等の経済環境が原因なら利益率5%ポイント低下になります。

 それでは上記の@とAについて、詳細を説明します。


 上記の@、いつからいつまでの売上といつを比較するのかについて。令和3年4月から令和4年12月までの間の連続した任意の3か月間の平均売上額が、前年、前々年、3年前同期のどこかと比べて、30%以上減少している事になります。

 業種によりますがコロナ前と比較できるので下がっている会社やお店は少なくはないでしょう。

 例えば、昨年の7月から9月までの3か月間平均売上とするなら、令和2年か令和元年、もしくは平成30年の7月から9月の3か月間平均売上と比較して、30%以上減少していればOKです。

 令和2年、令和元年とも比較して30%以上減少していなくても、平成30年と比較して30%以上減少していればOKですし、昨年の4月から今年の12月までのどこの3か月連続期間を選んでも構いません。

 但し、この9月1日から受付が始まった、業務改善助成金特例コース(以下この助成金という)の交付申請(最初に出す書類の事)の申請期限が来年の1月末までである事、それからこの助成金は予算がなくなり次第受付が終了する事を考えると、

 私なら今年の10月から12月までの売上で比較する事は無いでしょう。

 
 さてそれでは
 A原材料費等高騰など経済環境変化により利益率が5%ポイント低下しているについて詳細説明します。

 @の要件を満たせなくてもこちらのAの要件を満たせるなら、3つ目の要件はOKです。

 コロナの影響は少なくても、昨今の原材料費高騰が原因で利益率が低下している会社・店舗はあるかもしれません。

 こちらの要件も、@と同様、
令和3年4月から令和4年12月までの間で、任意の1月の売上高総利益率か売上高営業利益率が、前年同月に比べ5%ポイント低下している事になります。

 Aはロシアのウクライナ侵攻等々含め、直近の経済環境変化を要件としていますので、前年同月としか比べられません。※@は3年前まで同期と比較出来た事と異なる。

 ただ、今回の9月再開のこの助成金の再開趣旨は、このAが本命とも言えますので、利益率は5%ポイント低下で良い事や、任意の1月(3か月連続平均値ではない)で比較出来る事など、要件を満たしやすくしている設計といえるでしょう。


 最後に、事業場内最低賃金を引き上げる前の元々の事業場内最低賃金について、地域別最低賃金との差額が30円以内の会社・店舗・事業場がこの助成金の対象になる要件について説明します。

 これは何を言っているかと言いますと

 例えば大阪の事業場で今年の4月に1030円(これが元々の事業場内最低賃金になる)から1060円まで事業場内最低賃金を引き上げたとしましょう。

 昨年の7月16日から今年の12月末までの間に、事業場内最低賃金を30円以上引き上げていますから、下記2つ目の要件は満たしています。

 
2つ目の要件

 令和3年7月16日から令和4年12月末までの間に、事業場内最低賃金を30円以上引き上げている

 
 しかし、今年の4月の大阪の地域別最低賃金は992円ですので、引き上げ前の元々の事業場内最低賃金が1022円以下の事業所のみが対象になるという事になります。


(この事例における元々の事業場内最低賃金要件の計算式)
 992円+30円=1022円
 ※地域別最低賃金+30円以内=元々の事業場内最低賃金の要件


 その為、この事業場は事業場内最低賃金を30円以上引き上げていますがこの助成金の対象にはならないという結論になります。

 対象になる事業場の3つの要件についての説明は以上です。ご覧いただきありがとうございました。


おしまい




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